ターミナル駅発着の始発電車

 ターミナル駅の朝は早く、5時代前半には列車が動き出します。始発電車はターミナル駅に検車区や電車区などから回送や上り始発として営業列車でやってきたり、終電などが駅構内で夜間滞泊して初電に備えていたりします。下り始発は「普通」や「各駅停車」がほとんどですが、これは早朝であるためにあまり速達性が重視されず、ターミナル近郊区間の乗車機会を確保しているものと思われます。またこれにより日中では運転されない長距離区間を走る「普通」や「各駅停車」が存在する例もあります。

関東私鉄におけるターミナル駅発下りの普通・優等の各始発列車
事 業 者 拠点駅 種 別 終着駅 発車時刻 備 考
東武鉄道伊勢崎線 浅 草 普 通 竹ノ塚 7:23  
区間急行 東武動物公園 5:00  
東武鉄道東上線 池 袋 普 通 小川町 5:05  
急 行 小川町 5:30  
西武鉄道新宿線 新 宿 各 停 新所沢 5:01  
準 急 本川越 5:44  
西武鉄道池袋線 池 袋 各 停 小手指 5:00  
準 急 飯 能 5:39  
京成電鉄本線 上 野 普 通 成田空港 5:03  
快 速 成田空港 6:07  
京成電鉄押上線 押 上 普 通 青 砥 5:06 ※1
A特急 成田空港 6:05 ※2※3
東急電鉄東横線 渋 谷 普 通 元町・中華街 5:00 ※4
急 行 元町・中華街 5;51 ※4※5
東急電鉄田園都市線 渋 谷 普 通 中央林間 5:07  
急 行 中央林間 6:41  
京王電鉄京王線 新 宿 各 停 高尾山口 4:55 ※6
急 行 京王八王子 6:00  
京王電鉄井の頭線 渋 谷 各 停 吉祥寺 4:59  
急 行 吉祥寺 9:00  
小田急電鉄 新 宿 各 停 新松田 5:00  
急 行 小田原 5:46  
京浜急行 品 川 普 通 浦 賀 5:02  
特 急 三崎口 5:42 ※7
相模鉄道 横 浜 各 停 海老名 5:21  
急 行 海老名 6:02  

注1.東京時刻表2013年6月号を参考に平日ダイヤを記載。
注2.各事業者の上段は各駅停車列車の始発列車、下段は優等列車の始発列車。
注3.拠点駅発の始発列車を記載。上記列車よりも早い時刻の区間列車も一部路線には存在する。
注4.東京地下鉄は各路線で性格が大きく異なるので割愛。

※1.始発駅は都営浅草線浅草橋駅
※2.始発駅は都営浅草線西馬込駅
※3.「A特急」は「アクセス特急」の略。
※4.横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街駅まで直通運転。
※5.始発駅はメトロ副都心線和光市駅
※6.各停の始発発着列車は、新線新宿駅に入線。
※7.空港線直通の始発優等列車が本線始発優等列車よりも早く、品川5:15発の快特として運転。

 表を見ると東武伊勢崎線を除いて「普通」や「各駅停車」が始発として運転されているのがわかります。下り東武伊勢崎線のみ区間急行が「普通」よりも2時間以上も早く運転を開始していますが、これは浅草発着の「区間急行」と「区間準急」は北千住までの区間を各駅に停車しており、実質的に「普通」や「各駅停車」と変わらないためです。
 「普通」や「各駅停車」の運転区間が日中とあまり変わらないのは、下りが東武伊勢崎線、西武新宿線、池袋線、東急東横線、田園都市線、京王高尾線、井の頭線、京浜急行が挙げられます。これらは日常的に全区間で各駅停車列車が運転されているか区間運転列車がほとんどない路線(東急、京王、京急)と、電留線や折り返し設備、検車区があって各駅停車列車が長距離運用を行っておらず、他の時間帯とあまり変わらない運用を行う路線(東武伊勢崎線、西武)に分けられます。後者は始発列車でも終着駅以遠の列車が日中同様に確保されています。
 始発と日中の標準的な各駅停車列車の運用が違うのは、京成、小田急、相鉄となっていて、早朝の各駅の列車を確保すべく日中よりも長距離の区間を運転される例が多く、上記の路線では京成押上線以外が該当して、京成本線と相鉄が全区間を運用し、小田急小田原線も全区間ではありませんが、日中の各駅停車」は本厚木折り返しとするところを新松田まで運転されています。これらは優等列車が設定されていない時間帯のために各駅停車列車がダイヤを補完しているためです。逆の例となる京成押上線は青砥までと京成線内で完結する列車となっていますが、青砥で本線の始発列車に接続して青砥から本線京成高砂以遠を補完しています。ただ北総鉄道方面にはもう少し後の列車となり、特に成田空港へは優等列車としての始発である「アクセス特急」が始発となります。
 基本的にどの路線も始発列車の運行開始は5時以降となっています。これは早朝の都心から郊外への旅客流動がさほど大きくないためだと思われます。そして短距離を運行される列車は全区間を始発列車として運転されますが、長距離を運行する始発各駅停車列車は、途中駅で後発の始発優等列車に追い抜かれたり、途中駅発の始発列車の後になり、末端区間では優等列車ではなくなる列車が数多くみられます。優等列車は始発列車から約30分から1時間程時間を経てから運転される例が多いように見受けられます。この間に区間運転も含めて数本の各駅停車列車が運行されています。これら始発優等列車は日中と同じく全区間かそれに近い形の長距離運転が行われています。

関東私鉄におけるターミナル駅以外発の下り始発列車
事 業 者 種 別 始発駅 発車時刻 終着駅 到着時刻 備 考
東武鉄道伊勢崎線 普 通 北千住 5:01 東武動物公園 5:52
普 通 北春日部 5:08 館 林 5:50
普 通 館 林 5:08 伊勢崎 6:01 ○ 
普 通 太 田 5:00 伊勢崎 5:29
東武鉄道東上線 普 通 成 増 5:01 小川町 6:07
普 通 志 木 4:58 小川町 5:54
普 通 小川町 5:56 寄 居 6:11
西武鉄道新宿線 普 通 上石神井 4:55 本川越 5:39
西武鉄道池袋線 普 通 保 谷 4:53 飯 能 5:30
普 通 飯 能 5:06 西武秩父 5:55
京成電鉄本線 普 通 京成高砂 5:03 成田空港 6:18
普 通 京成津田沼 5:14 芝山千代田 6:01
京成電鉄押上線 −−− −−− −−− −−− −−− ※1
東急電鉄東横線 普 通 元住吉 5:00 元町・中華街 5:26  
普 通 武蔵小杉 5:10 元町・中華街 5:38 ○※2 
急 行 武蔵小杉 5:29 元町・中華街 5:53 ○※2
東急電鉄田園都市線 普 通 鷺 沼 5:00 中央林間 5:23
普 通 長津田 5:05 中央林間 5:15
京王電鉄京王線 普 通 桜上水 4:37 つつじヶ丘 4:47
普 通 高幡不動 4:37 京王八王子 4:48
普 通 北 野 5:08 高尾山口 5:21   
京王電鉄井の頭線 普 通 富士見ヶ丘 4:48 吉祥寺 4:55
小田急電鉄 普 通 経 堂 5:00 本厚木 5:52
普 通 新百合ヶ丘 5:10 本厚木 5:41
普 通 町 田 5:10 小田原 6:13
普 通 相模大野 4:50 小田原 5:48
普 通 海老名 5:12 本厚木 5:16
準 急 成城学園前 6:08 新松田 7:24
急 行 本厚木 5:42 小田原 5:54
京浜急行 普 通 京急川崎 5:02 浦 賀 6:12
普 通 神奈川新町 5:02 浦 賀 5:54
普 通 金沢文庫 4:56 浦 賀 5:23 ○ 
普 通 堀ノ内 5:07 浦 賀 5:12  
特 急 金沢文庫 5:04 三崎口 5:36
相模鉄道 各 停 二俣川 5:24 海老名 5:44  

注1.東京時刻表2013年6月号を参考に平日ダイヤを記載。
注2.ターミナル駅以外を始発駅とし、ターミナル駅から近い駅を始発とする列車を上位に記載。
注3.一部区間でも始発列車となっている列車を記載。
注4.優等列車はターミナル駅発の優等列車よりも早く運転される区間が存在する列車を記載。
注5.備考欄の“○”は始発駅が車輌基地に隣接している駅、“△”は電留線が設置されている駅。
注6.東京地下鉄は各路線で性格が大きく異なるので割愛。

※1.京成押上線はターミナル駅以外の途中駅発の始発列車は無い。
※2.横浜高速鉄道みなとみらい線元町・中華街駅まで直通運転。

<ここから>
 ターミナル駅以外の始発列車の表です。これらの駅の特徴は駅に検車区が隣接していたり、比較的大きな電留線が存在したりしていて、夜間の非営業時間帯に列車を留置する事が可能となっています。そして下りのほか上り列車もこれらの駅から運行を開始している例も多々あります。早朝の下り列車に関しては朝の上りラッシュに備えて郊外駅への送り込み回送も兼ねています。4時台発などターミナル駅の始発発車時間よりも早い時間に運行が開始されるのも、こうした面があるためです。この他にも回送列車が設定されている場合もありますが、営業列車として運行されないのは旅客需要と比較して過剰な本数となってしまうので、回送で郊外の駅へと送り込むのでしょう。こうした途中駅始発の列車はターミナル駅から離れた区間の始発列車の運転時刻が遅くならないようにする意味合いもあり、早朝の貴重な足となっています。
 車輌基地も電留線も無い始発駅が東急東横線の元住吉駅、京王高尾線の北野駅、京急本線の堀ノ内駅、相鉄の二俣川駅と4駅存在します。このうち元住吉駅は近隣に元住吉検車区があり、かつてはこの区間において入出庫の運用がありましたが、同駅が高架化された際に地平部に残された検車区との間で直接の接続ができなくなり、基本的に同検車区からの入出庫は渋谷寄りの近隣駅である武蔵小杉に目黒線を介して行うか、東横線の元住吉駅を越えた日吉寄り地点で接続している部分で行います。元住吉駅始発の列車は上り下りに同駅着の終電がありそれが駅夜間滞泊となって、翌朝それそれ上り下りの元住吉駅始発の始発電車として運用されます。また相鉄の二俣川駅始発も終電が駅に夜間滞泊して始発電車となります。京王の北野駅始発と京急の堀ノ内駅始発は近隣の車輌基地から回送で運転されて同駅から営業運転に変わります。こうした留置設備の無い駅から運行を開始するのは、ターミナル駅からそれなりに距離があってそれらの駅からの始発を待っていると末端区間の始発列車の時刻が遅くなってしまうのと、元住吉駅を除いて3駅は比較的規模の大きい亜幹線との分岐駅であるので駅自体の収容力に余裕がある点が挙げられ、これらの始発列車が向う末端の終着駅は乗降数から規模が小さく末端駅発の列車を駅に夜間滞泊させる余裕があまり無いので、末端終着駅への送り込みも兼ねているので、あまり遅い時間帯に設定できない面もあります。こうした点は車輌基地や電留線のある郊外外延部の駅から運転される始発列車にも同じことが言えます。
 東急東横線の元住吉始発は元住吉検車区と接続していた時代の名残と思われ、その大半が武蔵小杉に役割を持っていかれたものの、ホームの本数から上下各1本のみ辛うじて残存しているのでしょう。

関東私鉄におけるターミナル駅着の上り普通・優等の各始発列車
事 業 者 拠点駅 種 別 始発駅 始発時刻 到着時刻 備 考
東武鉄道伊勢崎線 浅 草 普 通 北千住 5:11 5:25  
区間急行 館 林 5:00 6:26  
東武鉄道東上線 池 袋 普 通 成 増 4:50 5:07  
急 行 森林公園 5:01 5:58  
西武鉄道新宿線 新 宿 各 停 上石神井 4:35 4:57  
準 急 新所沢 4:55 5:36  
西武鉄道池袋線 池 袋 各 停 保 谷 4:53 4:51  
準 急 小手指 4:54 5:29  
京成電鉄本線 上 野 各 停 京成高砂 4:45 5:05  
快 速 京成成田 4:58 6:15  
京成電鉄押上線 押 上 各 停 京成高砂 4:48 5:00 ※1
特 急 印西牧の原 5:02 5:43 ※1
東急電鉄東横線 渋 谷 普 通 元住吉 5:00 5:20 ※2
急 行 武蔵小杉 5:34 5:51  
東急電鉄田園都市線 渋 谷 普 通 二子玉川 5:02 5:16 ※3
急 行 中央林間 5:39 6:15 ※4
京王電鉄京王線 新 宿 各 停 桜上水 4:38 4:50 ※5
区間急行 京王八王子 4:53 5:45  
京王電鉄井の頭線 渋 谷 各 停 富士見ヶ丘 4:36 4:56  
急 行 吉祥寺 6:27 6:48  
小田急電鉄 新 宿 各 停 経 堂 4:48 5:05  
準 急 相模大野 4:53 5:38  
京浜急行 品 川 普 通 京急川崎 4:52 5:12  
特 急 神奈川新町 5:08 5:27 ※6
相模鉄道 横 浜 各 停 かしわ台 4:45 5:19  
急 行 海老名 5:04 5:36  

注1.東京時刻表2013年6月号を参考に平日ダイヤを記載。
注2.各事業者の上段は各駅停車列車の始発列車、下段は優等列車の始発列車。
注3.ターミナル駅に一番早く到着する始発列車を記載。
注4.到着時刻は。各事業者の拠点駅への到着時刻で始発列車の終点到着時刻とは異なる。
注5.東京地下鉄は各路線で性格が大きく異なるので割愛。

※1.都営浅草線を経て、京急線羽田空港国内線ターミナル駅まで直通運転。
※2.メトロ副都心線和光市駅まで直通運転。
※3.メトロ半蔵門線を経て、東武伊勢崎線久喜駅まで直通運転。
※4.メトロ半蔵門線押上駅まで直通運転。
※5.各停の始発発着列車は、新線新宿駅に入線。
※6.都営浅草線、京成線を経て北総線印旛日本医大駅まで直通運転。

 上りの始発列車は下りと比べて若干早い時間に設定されています。これはターミナル駅への送り込みという点と都心部への通勤通学需要が高いためです。各駅停車列車の始発列車はそのほぼ全てが近隣の車輌基地や電留線からの出庫列車となっています。これは早い時間に都心への足を確保しつつ、折り返しの下り運用への送り込みとして機能するためで、その後に少しずつ離れた駅発の列車がターミナル駅へ向ってきます。例えば、小田急では経堂駅発が新宿着の初列車ですが、その次が成城学園前駅発、そして相模大野駅発本厚木駅発と数本ずつだんだんと運転されるようになり、京王線では桜上水駅発が始発となり、続いてつつじヶ丘駅発、高幡不動駅発と遠方発となります。そしてこの間に遠方発の優等列車が割って入ってくるようになります。京王井の頭線や相鉄も車輌基地からの出庫列車ですが末端の終着駅に近い場所で全区間に近い区間を運行しますが、日中には一部の入出庫列車にだけ設定される運用なので、通常運用と他大手私鉄の始発列車の中間的な運用といえます。
 優等列車の上り始発も車輌基地からの出庫列車が多いのですが、運用開始時間が遅いのと運転時間が短いので、東武伊勢崎線、東上線、西武新宿線、池袋線、東急東横線、小田急、京急は各駅停車列車よりも遠方からの車輌基地隣接駅からの運転開始となっています。また車輌基地からの出庫で無い場合もあり、京成本線、押上線や東急田園都市線、京王京王線、井の頭線、相鉄がこの運用に挙げられます。このうち京成本線と東急田園都市線、京王線、相鉄は上り始発の到着よりも上り優等始発のほうが早いので、近隣の車輌基地から回送されるか駅での夜間滞泊によって運用が開始されるものと思われます。優等始発列車はターミナル駅には初の到着列車になる事は無く、各駅停車列車による初到着列車の後さらに数本後にターミナル駅に到着するのが標準的な運用となっているようです。始発優等さッ者の中には始発駅から各駅停車列車が運行され始めている駅までは各駅に停車するものもあり、小田急では相模大野始発の「準急」は途中登戸まで各駅に停まり、この区間各駅の始発列車となっていますし、京王線の京王八王子駅発の優等始発列車は高尾・八王子方面では早朝深夜しか運転されない「区間急行」で運転されて、京王八王子と高幡不動間各駅の始発列車となっています。西武も新宿線、池袋線共に「準急」が始発優等列車となっていますが新所沢〜石神井間と小手指〜保谷間それぞれ各駅の始発列車としての役割も任されています。
<ここまで>

続く