B−1爆撃機を追え

文芸書版   1986年8月5日初版発行
ノベルズ版  1992年2月5日初版発行 「オL−01」
文庫版    1993年3月15日初版発行「お−66−1」

大石英司の記念すべきデビュー作であり、ヒロフミ・アヤセシリーズの第一作となる作品です。この作品が執筆されたとき、世界は冷戦の真っ只中でした。そんな中最高機密である米軍の戦略爆撃機が極右組織に乗っ取られ、モスクワに向かって進路をとった。果たして米ソ両国は核戦争の危機を回避できるのか?息詰まる展開が間をおく事無く書かれています。当時、まだ和製ハイテク軍事スリラーが確立されていなかったころ、これだけの高品質の作品が存在したと云うのは驚きです。ちなみにこの作品は大石先生が講談社に初めて投稿したときに編集者が「面白い原稿があったらください」いわれて出した原稿だそうです。その編集者に一ファンとして大感謝ってところですね。

 

カナリアが囁く街 警察庁が震撼した七日間

文芸書版   1987年8月25日初版発行
ノベルズ版 1992年12月5日初版発行「オL−03」
文庫版 1995年2月15日初版発行「お−66−3」

ノベルズ版が刊行されたとき、バブルがはじけ社会に不景気と言う影がかかり始めたころです。しかし本来この作品はバブル以前には刊行されています。ほかにも官僚の腐敗の構造や公安警察の実態など、日本で生きていく事がいやになるような裏の世界が描かれています。今の日本の繁栄、横並びの中流意識、それらには裏側があり、我々はその裏側を意図的に目を背けているだけなのかも知れません。また「カナリアの囁く街」の続編として「樹氷戦線」(立風書房)があります。
蛇足ながら文庫版の解説をしている今野敏は大石英司とガンダムを語り合える仲(笑)とのことですが、最近「慎治」というヲタクをテーマとした小説を書いています。普段良く書いているハードな作品とはかなり違うのでギャップがたまらなく面白い作品です。

シーナイトを救出せよ

文芸書版 1988年8月5日初版発行
ノベルズ版 1992年9月5日初版発行「オL−02」
文庫版 1994年8月15日初版発行「お−66−2」

「B−1爆撃機を追え」の主人公、ヒロフミ・アヤセシリーズの第2弾です。時系列としてはこちらの作品の方が先になります。(B−1のときのアヤセは大統領補佐官で予備役准将、この作品では陸軍中佐)深海に沈んだ深海調査艇「シーナイト」を巡って、アメリカと英仏ソが対立すると言うものですが、アメリカと西欧との対立は珍しいものではなく、最近では「新第三次大戦」ものとしてジャンルが確立されつつあるようです(ラリー・ボンドの「ヨーロッパ最終戦争」とか)
しかし作品中、ソナーマンの間では首長竜が認知されているように書かれていますが実際のところはどうなのでしょうか?ブロッケンの怪物と呼ばれる未知の生物の解剖シーンは特に説得力があります。

 

ナイトメア奪回作戦(上・下)

ノベルズ版 1994年4月5日初版発行(上巻)「オL−04」
同 上   1994年5月5日初版発行(下巻)「オL−05」

講談社からとしては忘れていたわけではないけれど、それに近いぐらいの時期に発売された作品です。ある特定の大手宗教団体の信者には見せられない作品ですこれは・・・。「ナイトメア」と言う有機物を激しい勢いで食べてしまうバクテリアがこの作品のキーワードですが、作品が発売された直後にイギリスの方で人食いバクテリアが話題となりました。作中では、バクテリアはカフェインに弱く、コーヒーをがぶ飲みしていた将軍が「ナイトメア」に汚染されながらも生還しています。汚染されてからの将軍の行動が妙に呑気に見える。肝がすわっているのだろうか。大石作品には呑気に見える登場人物が多いです。